読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ウルトラでない実相寺監督

 今日は、ユーロスペースでおこなわれている『実相寺昭雄の光と闇』のプログラムの『おかあさん』を観に行く。

 『おかあさん』というのはテレビ黎明期、TBSで放送された母と子をテーマにした一話完結のオムニバス作品である。

 六本放送されたが、そのうちの何本かは生放送で放送されたもので、それを実相寺監督が内緒で、自費でキネコ化したものである。

 また、『おかあさん』は実相寺監督のテレビ演出デビュー作である。

 

 そして、六本の作品であるが、実相寺監督の演出の回は母と子の温かい話とはほど遠く、同情心の強い人妻と彼女をだます貧しい子供、中絶の話、娘を金持ちの囲い者にしている母親の話など、温かいとは程遠い物語である。

 それもそのはず、脚本を書いているのが大島渚監督、石堂淑郎、田村孟恩地日出夫、須川栄三と、映画界では何癖もある人達である。こんなメンバーだから、ただたんに温かい母子物などを書くわけがない。

 そんな悪の強い個性のある脚本を強烈なテクニックで描いて行くのであった。

 被写体のまわりを回っての移動撮影、短いカットを何カットもスピーディーにつないだ編集、ある作品では照明を強くして画面に白っぱさを強調した画作り。

 それらのテクニックは画面を不安定に感じさせてしまっている。

ところが、そんな不安定を与える撮影は登場人物達の心理も上手く表現していて、ドラマを大いに盛り上げるのであった。

まさに、黎明期であるから、自由に撮影をやっている、というよりも実験をしている感じがあった。

でも、確かに、こんな無茶苦茶な撮影をしていれば上役に怒られむも頷けるが、そんな理解されにくい撮影をしているからこそいい作品ができたと言ってもいいだろう。

本音を言えば、実相寺監督は大好きな監督というかけでもない。『ウルトラマン』の彼の作品よりも円谷一監督、飯島敏宏監督の方が好きである。

今回の『おかあさん』もテレビの黎明期の作品という興味で観に行った。

 けれども、予想以上に実相寺監督の演出の面白さに衝撃を受けてしまった。

 観られるのがこの特集だけというのがもったいないと思った。

 ちなみに、映画の後にトークショーがあった。

 上映作品の一本に出演していた当時子役の俳優が出演していた。

 その俳優の名前は池田秀一

 まさか、こんなところで、赤い彗星のシャアに会うとは思わなかった。